【ソシュール入門】ソシュールと言語学

 

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

 

 

概要

言語学創始者ソシュールから始まり。

彼の影響を受けてうまれた、プラハ学派、アメリ構造主義言語学コペンハーゲン学派。

そして、バンベニスト、マルチネと一気に概観してこれからの構造主義言語学についてを語るという流れ。

言語学者たちの小難しい用語を飲み込むのに少し手間取るが、

平易な文章で書かれているためスラスラと読み進めることが出来た。

 

この本の面白い点

著者は言語学者の学説の問題点を指摘しバッサリと切り捨てる。

だからといってその学説が全くの無駄であるというのではなく、

そうすることで、その学説の本当に意味のある有用な部分を鮮やかに浮かび上がらせる。

加えて、著者自身の解釈とその上に成り立つ言語分析の実例は読んでいて納得のいくものが多く、

ただの学説の解説に留まらない面白さがある。

 

この本を読んだ理由

哲学マップ (ちくま新書) を読んで、構造主義を知り興味を持つ

→ 寝ながら学べる構造主義 *1を読む

ソシュールに興味を持つ

→大学の一般教養の教授に言語学系の方がいたので、お勧めの本を聞いたらこの本を勧められたから。

*1:文春新書

数学ガール

 

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

 

 

 この本は凄いな。

小説としての面白さを損なうことなく小説と数学を両立してる。

会話形式で進む数学の話は小難しい数学を解きほぐして分かりやすくしている。

難しいと感じたならば話の流れを掴む程度の理解に抑えればいい。

主人公とヒロイン?の関係も見ていて飽きない。

そして何よりも、数式を解くといったことや、証明の過程を辿ることが、

こんなにも面白くてワクワクするものだと感じたのはいつ以来だろう?

中学生ぶりくらいな気がする。

新鮮な驚きと満足感に満ちた読書体験だった。

もっと早くこの本に出会っていればなあと思わせる本だった。

 

特に印象的だった内容

素数に一が含まれないのは素因数分解を一意にするため。

母関数を使って一般項を求めるという過程。

連続的な世界と離散的な世界の鮮やかな対応関係。どれも非常に面白いものだった。

 

この本を読んだ(選んだ)理由

うーん、具体的にはもう思い出せないのだけれど、

グーグルで「本 おすすめ」で検索して気になった本を片っ端から読みたい本にぶち込んでいた時があって、

その時に見つけた本だと思われる。

【プラトン】ゴルギアス

 

ゴルギアス (岩波文庫)

ゴルギアス (岩波文庫)

 

 

あくまで、プラトンが書いたソクラテスということを重々承知した上で、

読んでいて感じたことは2つある。

 

1つ目はソクラテスってこんなにも自己主張して、自論を曲げない人なのかという印象。

しかし、解説によるとこのゴルギアスという作品はプラトン初期の「ソクラテス的対話篇」とは異なり、

プラトンの思想が出始めている作品なのだという。

つまり、時間の経過とともにプラトンの中のソクラテスは成長し「プラトンソクラテス」になり、

それがよく表れているのが本書ということである。

プラトンソクラテスを通して自分の思想を成長させ形作っていったのだというのがよくわかる。 

 

2つ目はソクラテスって意外にも皮肉屋というか煽り耐性低いのかなという印象。

例えば100pの「(略)・・・君のその態度は何かね?ポロス、君は笑っているのか?それがまたもうひとつの反駁の方法だというわけかね。(略)」

このセリフを読んだときはソクラテスめっちゃ怒ってる…とか思わずにはいられなかった。

でもそれが悪いことだというわけではなくて、なんだかソクラテスを身近に感じてしまった。 

 

名言が多い

カㇽリクレスの「いい年になってもまだ哲学をしていて、それから抜け出ようとしない者を見たりするときに、ソクラテスよ、そんな男はもう、ぶん殴ってやらなければいけないと僕は思うのだ。」

というセリフもなかなか強烈。

他にも登場人物たちは熾烈な議論を交わし様々な名言が出てくる。

プラトンが読みやすいと言われる理由が分かった気がする。

 

この本を読んだ理由

前に記事を書いた

【プラトン入門】プラトン 哲学者とは何か - 思考の足跡 

の読書案内で初めに読むならゴルギアスがいいと書かれていたから。

 

「分かりやすい表現」の技術

 

 

本書の概要と流れ

分かりにくい表現が世に溢れているという問題提起をした後に、では分かるとは何なのかということを定義し、具体的な分かりにくい表現を挙げつつ最後にまとめるという流れ。

 

良いと思った点

・違反例→改善例という図が非常に見やすく分かりやすかったということ。

・具体例がかなり身近にあるものを使っていて読後すぐに著者の言いたいことが実感できるということ。

 例えば、電車の案内板の例などは、読んだ後すぐにこの案内板はこうだからわかりにくいのか、または分かりやすいのかといったことに気づけるようになった。

 

頻繁に何らかの形で情報発信する人は手元に置いておきたい一冊。

 

 

 

 

 

 

 

【神道】神道の逆襲

 

神道の逆襲 (講談社現代新書)

神道の逆襲 (講談社現代新書)

 

 

神道の丁寧な解説

仏教や儒教の影響を受けつつも日本独自の思想がみれる神道思想史の解説をしてくれる本。

昔の日本人はどういう風に世界を捉えていたのかということを知れて面白かった。

 

神道にも創世神話がある!?

神道は具体的な教義や教説が存在しないと思っていたから、

伊勢神道において神道五部書を教典とするいわゆる創世神話があるというのは驚きだった。

 

神道キリスト教

神道信者の中でも様々な神話の解釈があってそれによって教義や教説の内容も変わっているということは、

キリスト教内部でも聖母マリアは神なのか人間なのかという解釈が違うといったことを彷彿とさせる。

 

なぜこの本を手に取ったのか

日本は本当に無宗教なのか?という疑問がまずあって、そういえば日本には神道っていうのがあったよなと思い、この本を読んでみようと思った。

【アリストテレス入門】アリストテレス入門

 

アリストテレス入門 (ちくま新書)

アリストテレス入門 (ちくま新書)

 

 

アリストテレスとは

ソクラテスの弟子がプラトンであり、プラトンの弟子がアリストテレスである(有名すぎて今更感がすごい)。

アリストテレスが後世に多大な影響を与えたのは疑いようがない。そんな、アリストテレスの入門書。

大体の内容と知っていたこと知らなかったこと

四原因説や可能態ー現実態については知っていたが、他の哲学者と比べてもかなり観察重視だということや実体論については知らなかった。

本書について

殆どの文章が結論を先に述べずに展開しているため、なにが言いたいかわからないまま読み進めなければいけないので読みにくいと感じた。

加えて、抽象的な言葉が使われいていることが多く理解することが困難な部分もあった(実体、形相、本質など)。

かし、あとがきによると本書はアリストテレスの思想の解説ではなく、その思考法を学べるようにという目的で書いたという。

ういう目的ならば、このような文章の構造になったのも仕様のないことなのかとも思う。

読んでいて思ったことは、アリストテレスは結構プラトンを批判しつつも継承している部分が多くプラトンについて知っているとより理解が深まるかもしれないということ。

 

なぜこの本を手に取ったのか

実はアリストテレスのニコマコス論理学を半年くらい前に買ったのだけど、言っていることがよくわからないことが多く、何かいい入門書はないかなと思ってネットで調べてこの本がよさそうだって思ったから。

 

 

 

【思考の道具箱】知的複眼思考法

 

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

 

 

複眼思考とは

複眼思考とは常識やステレオタイプを疑わず受け入れる単眼思考と対をなす概念であり、著者がこの本で伝えたい思考法である。

それは、常識を疑い世の中に生じる様々な問題を様々な視点から捉える方法でもある。

まだまだ私は単眼思考に陥りがちであると思うので、この本を参考にして複眼思考ができるように努めたいと思った。

 

本書の重要性

全ての章で書かれていることが、私にとって必要なことだと思えてならなかった。

しかし、だからといってこの本を「鵜呑み」にして、本書の内容すべてが正しいことだと思い実践しようとすることは著者の本意ではないだろう。

でもとりあえず、個人的に重要だと思った点を2つ挙げていきたい。

 

1つ目は、批判的に読書をするということ。

私はしばしば哲学者の本を読んだりしてなにか素晴らしい知識を得たと感じ満足している部分があった。

しかし、そういった知識を得るだけの受動的な読書では自分で考えるようにはならないと著者は言う。

まさに身につまされる思いだった。たとえ有名な思想家や哲学者の書いた本であっても、それを鵜呑みにせず常にしっかりと吟味しながら読書したいと思った。

 

2つ目は、問いの展開の仕方。

ある問い(なぜ~なのか?)を打ち立てたとき、その複雑さに頭を抱えたり、もっともらしい答えを見つけて納得してしまうかもしれない。

しかしそれではそこで止まってしまい、なぜという問いに答えることにつながらない。

それを克服するためには、主語をより分解してみたり、どうなっているのか?という実態を問う問いも組み合わせて問いを展開してゆくという方法がある。

なにか問題が生じたときに参考にしたい方法だと感じた。

 

なぜこの本を手に取ったのか

これは非常にわかりやすい理由で、読書猿さんのブログを読んでこれは読まねばという気になったから。