【ニーチェ】ツァラトゥストラかく語りき

 

ツァラトゥストラかく語りき (河出文庫)

ツァラトゥストラかく語りき (河出文庫)

 

 

永劫回帰 力への意思

ニーチェの解説本を読んで、この本が永劫回帰力への意志について書かれているということは分かっていたから、

その部分について書かれている所はわかった。

しかし、その永劫回帰力への意志以外の部分はほとんどなにが言いたいのか分からなかった。

分からないなりにも、読んでいてニーチェの卓越した比喩表現と痛烈な批判は読んでいて胸を熱くさせることが多々あった。

時間をおいて再読したい一冊。

 

好きな文章

 

「もっとも重いもの。それは、おのれの傲慢に痛みを与えるために、

みずからを卑しめることではないか。おのれの知恵をあざけるために、

みずからの愚劣を明るみに出すことでは。」

 

多くのものはあまりに遅く死ぬ。あるものたちはあまりに早く死ぬ。

死ぬべき時に死ね」と言う教えはまだ耳慣れない。

死ぬべき時に死ね。ツァラトゥストラはそう教える。

むろん、生きるべき時に生けなかったものがどうして死ぬべき時に死ねよう。

 

なぜ河出文庫なのか?

ツァラトゥストラ は他の文庫、ちくま学芸文庫岩波文庫でも出ているがなぜ河出文庫のものにしたのかというと、理由は2つあって。

つ目は、河出文庫版は注釈が一つもないということ。

これは一見悪い点に聞こえそうだが、読む上でなんの障害もなく読めるという利点がある。

実際にちくま学芸文庫版などを手に取ってみるとわかるが、

注釈が多いと文章のいたるところに︎注釈のマークがあって読みにくいと感じた。

つ目は、実際に他の文庫版と読み比べてみて、訳が読みやすいなと感じたから。こればかりは人によって違うから手にとって確かめてみてほしい。

【SF】華氏451度

 

 

華氏451度 紙の発火点

華氏451度」まずこのシンプルなタイトルがカッコいい。

タイトルがかっこいいから読んだまである。

容は、書物を焼く昇火士(ファイアマン)である主人公はある少女に出会うことでの昇火士という仕事に疑問を持ち始め...

という始まりで全体としては焚書をテーマにしたディストピアSF。

個人的に海外SFは良い意味で無機質な描写が多いイメージがあったのだけれど、

ブラッドベリの筆致は非常に感傷的、情緒的で驚いた。

こういう文章は結構好きなのでブラッドベリの他の作品も読みたくなった。

 

ファイアマン=昇火士

訳者あとがきで、ファイアマンをどう訳すかという内容があり。

要約すると、今までファイアマンという英語に消防士、焚書官という語が当てられていたらしいが、

訳者は本を燃やすことが肯定的な世界では言葉の響きも明るくすべきとして、

暗いイメージのある焚書は避け、昇火という語を作ったということ。

ここに訳者のこだわりと翻訳に対する情熱が感じられた。

 

ブラッドベリの危機意識が感じられる本書からの抜粋

主人公モンターグの上司であるベイティーのセリフ

「要約、概要、短縮、抄録、省略だ。政治だって?新聞記事は短い見出しの下に文章がたった2つ!しまいには何もかも空中分解だ。出版社、中間業者、放送局の汲み取る力にキリキリ舞いするうち、あらゆる余計な込み入った考えは遠心分離機で弾き飛ばされてしまう!」

もう1つ、モンターグがファイアマンとは?と聞いた時のベイティーのセリフ

「世界中で古臭いファイアマン(消防士)は必要なくなった。彼らは新しい職にありついた。我々の劣等意識が凝集するその核心部を守る人間。心の平安の保証人、公認の検閲官兼裁判官兼執行官になったのだ。それがお前だモンターグ、それが俺なんだ。 」

 

 

 

ファスト&スロー (上)

 

ファスト&スロー (上)

ファスト&スロー (上)

 

 

概要

ファスト&スローは五部構成であり、上巻では3部の途中まで掲載されている。

上巻ではまず、物事を自動的に判断するシステム1(無意識に似ていると感じた。)、

集中力と注意力を要するシステム2という独特の用語の定義をする。

そして我々の判断がいかにシステム1という自分で律せないものに依拠しているのか、

ということを様々な実験で暴き、人間はなぜ統計的思考をするのが困難なのかということを論ずる。

 

感想

この本を読んでいるとき、驚きの連続だった。

確かに我々は、意思決定に幾ばくかの感情を持ち込んだり、

多少は論理的ではない過程を経るものだとは経験上わかってはいた。

しかし、本書を読むと我々人間はほとんど自分を律しているとは言えないのではないだ

ろうかとさえ思うほどの気持ちになる。(なんとなく構造主義に近い?)

とはいえ、この実験が本当に信頼できるのか、似たようなことをしても実験方法によって結果は大きく変わりそうだなとは思った。

 

印象的だった実験2つ

1つ目は、被験者にバスケの動画を見せて、片方のチームのパスの回数を数えろと指示する。

の動画の途中にゴリラの着ぐるみを着た女性がコートを横切り9秒間胸をたたくなどして立ち去るが、

被験者の約半数はこの以上にに気づかなかったという結果になった。

このことから分かるのは、我々は1つのことに集中していると他のことに対する注意力が落ちるということ。

 

つ目はイスラエルで行われた仮釈放判定人の実験。

彼らは仮釈放申請書を審査するが、食事休憩後の経過時間と申請の許可件数の比率を算出したところ、

休憩後の許可率が最も高くなった。

実験チームはこの結果の最も妥当な説明は、疲れて空腹になった判定人は、

深く考えるのをやめて却下するようになるという説明である。

もしこれが本当ならば、仮釈放という割と重要な判断にもかかわらず、

疲れて消耗しているからということで厳正に判断できなくなってしまうという

驚きの結果である。

【ソシュール入門】ソシュールと言語学

 

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

 

 

概要

言語学創始者ソシュールから始まり。

彼の影響を受けてうまれた、プラハ学派、アメリ構造主義言語学コペンハーゲン学派。

そして、バンベニスト、マルチネと一気に概観してこれからの構造主義言語学についてを語るという流れ。

言語学者たちの小難しい用語を飲み込むのに少し手間取るが、

平易な文章で書かれているためスラスラと読み進めることが出来た。

 

この本の面白い点

著者は言語学者の学説の問題点を指摘しバッサリと切り捨てる。

だからといってその学説が全くの無駄であるというのではなく、

そうすることで、その学説の本当に意味のある有用な部分を鮮やかに浮かび上がらせる。

加えて、著者自身の解釈とその上に成り立つ言語分析の実例は読んでいて納得のいくものが多く、

ただの学説の解説に留まらない面白さがある。

 

この本を読んだ理由

哲学マップ (ちくま新書) を読んで、構造主義を知り興味を持つ

→ 寝ながら学べる構造主義 *1を読む

ソシュールに興味を持つ

→大学の一般教養の教授に言語学系の方がいたので、お勧めの本を聞いたらこの本を勧められたから。

*1:文春新書

数学ガール

 

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

 

 

 この本は凄いな。

小説としての面白さを損なうことなく小説と数学を両立してる。

会話形式で進む数学の話は小難しい数学を解きほぐして分かりやすくしている。

難しいと感じたならば話の流れを掴む程度の理解に抑えればいい。

主人公とヒロイン?の関係も見ていて飽きない。

そして何よりも、数式を解くといったことや、証明の過程を辿ることが、

こんなにも面白くてワクワクするものだと感じたのはいつ以来だろう?

中学生ぶりくらいな気がする。

新鮮な驚きと満足感に満ちた読書体験だった。

もっと早くこの本に出会っていればなあと思わせる本だった。

 

特に印象的だった内容

素数に一が含まれないのは素因数分解を一意にするため。

母関数を使って一般項を求めるという過程。

連続的な世界と離散的な世界の鮮やかな対応関係。どれも非常に面白いものだった。

 

この本を読んだ(選んだ)理由

うーん、具体的にはもう思い出せないのだけれど、

グーグルで「本 おすすめ」で検索して気になった本を片っ端から読みたい本にぶち込んでいた時があって、

その時に見つけた本だと思われる。

【プラトン】ゴルギアス

 

ゴルギアス (岩波文庫)

ゴルギアス (岩波文庫)

 

 

あくまで、プラトンが書いたソクラテスということを重々承知した上で、

読んでいて感じたことは2つある。

 

1つ目はソクラテスってこんなにも自己主張して、自論を曲げない人なのかという印象。

しかし、解説によるとこのゴルギアスという作品はプラトン初期の「ソクラテス的対話篇」とは異なり、

プラトンの思想が出始めている作品なのだという。

つまり、時間の経過とともにプラトンの中のソクラテスは成長し「プラトンソクラテス」になり、

それがよく表れているのが本書ということである。

プラトンソクラテスを通して自分の思想を成長させ形作っていったのだというのがよくわかる。 

 

2つ目はソクラテスって意外にも皮肉屋というか煽り耐性低いのかなという印象。

例えば100pの「(略)・・・君のその態度は何かね?ポロス、君は笑っているのか?それがまたもうひとつの反駁の方法だというわけかね。(略)」

このセリフを読んだときはソクラテスめっちゃ怒ってる…とか思わずにはいられなかった。

でもそれが悪いことだというわけではなくて、なんだかソクラテスを身近に感じてしまった。 

 

名言が多い

カㇽリクレスの「いい年になってもまだ哲学をしていて、それから抜け出ようとしない者を見たりするときに、ソクラテスよ、そんな男はもう、ぶん殴ってやらなければいけないと僕は思うのだ。」

というセリフもなかなか強烈。

他にも登場人物たちは熾烈な議論を交わし様々な名言が出てくる。

プラトンが読みやすいと言われる理由が分かった気がする。

 

この本を読んだ理由

前に記事を書いた

【プラトン入門】プラトン 哲学者とは何か - 思考の足跡 

の読書案内で初めに読むならゴルギアスがいいと書かれていたから。

 

【ニーチェ入門】ニーチェ入門

 

ニーチェ入門 (ちくま新書)

ニーチェ入門 (ちくま新書)

 

 

衝撃的なニーチェ

神は死んだなどの名言で余りにも有名なニーチェ。ドイツ文化、キリスト教、ヨーロッパ哲学を徹底的に批判したその姿勢は、振り回されるような勢いがある。

そして、その主張は懐疑主義相対主義に留まらず、ニーチェ独特の思想を提示することで、我々に新たな生き方を促す。

本書では度々ニーチェの著作を訳した文を引用して説明が行われるが、

この引用された文にさえ力強さと、なにか深い、自分に訴えかけるものを感じた。

是非ニーチェの著作を読もうと思った。

 

印象に残った点2つ

1つ目は、ルサンチマン(弱者の心)によって平等主義が強められるという洞察。

ニーチェによると、自身が不平等であるという不満、他人の幸せを妬む心、こういったルサンチマンが平等思想を制度化させるという。

自分は平等主義の形成過程などに全く詳しくないけれど、ニーチェのこの洞察は鋭く本質をついてるのではと深く納得してしまった。

2つ目は、いわゆる強いニヒリズムという生き方の提示。

ニーチェは言う この世に真理、本当の世界、神などありはしない。

では我々はどう生きればいいのか?そのような世界で生きる意味はあるのか?ここで留まってしまうのが弱いニヒリズム

強いニヒリズムでは自分が、自分こそが生に意味を与えるのであると説く。

 

この本を読もうと思った理由

哲学マップ(ちくま新書)を読んでニーチェを読もうと強く思ったから。