反哲学入門

 

反哲学入門 (新潮文庫)

反哲学入門 (新潮文庫)

 

 

 

反哲学ってどういうことだろうって思いながら読み進めた。

筆者によると、哲学というのはソクラテスから始まる超自然的な思考様式であり、これはニーチェまでずっと続いてきた。

そこで、ニーチェは超自然的に考えるのはおかしいとしてそれまでの哲学を批判した。

つまり、ニーチェの「哲学」は「反哲学」じゃないかということになる。

筆者は ニーチェ以前と以後を同じ哲学史にに一線に並べるのはおかしいとまで主張する。

なるほどなあと納得してしまった。

 

印象に残った点

一つ目は、なぜ日本には哲学が生まれなかったのかという疑問に対する答え。

筆者によると、西洋という文化圏においてのみ超自然的な原理を立てそれを通して自然を見るという特殊な見方をしたのであり、

自然の中に包まれ生きていると信じていた日本人にとっては生まれるはずもないものの見方だったということである。

確かにそう言われると、ニーチェに深く共感してしまうのはそういうわけなのかなあとか浅慮ながらも思った。

 

二つ目はニーチェ以前の超自然的な考え方はソクラテス以降ずっと続いていて、特にプラトンアリストテレスの考えは、キリスト教の教義へと形を変えて古代から連綿と受け継がれていたということ。極少数の人々の思想が2000年近くも精神的な原理とされてきたとか凄まじいことだとおもった。