「分かりやすい表現」の技術

 

 

本書の概要と流れ

分かりにくい表現が世に溢れているという問題提起をした後に、では分かるとは何なのかということを定義し、具体的な分かりにくい表現を挙げつつ最後にまとめるという流れ。

 

良いと思った点

・違反例→改善例という図が非常に見やすく分かりやすかったということ。

・具体例がかなり身近にあるものを使っていて読後すぐに著者の言いたいことが実感できるということ。

 例えば、電車の案内板の例などは、読んだ後すぐにこの案内板はこうだからわかりにくいのか、または分かりやすいのかといったことに気づけるようになった。

 

頻繁に何らかの形で情報発信する人は手元に置いておきたい一冊。

 

 

 

 

 

 

 

【神道】神道の逆襲

 

神道の逆襲 (講談社現代新書)

神道の逆襲 (講談社現代新書)

 

 

神道の丁寧な解説

仏教や儒教の影響を受けつつも日本独自の思想がみれる神道思想史の解説をしてくれる本。

昔の日本人はどういう風に世界を捉えていたのかということを知れて面白かった。

 

神道にも創世神話がある!?

神道は具体的な教義や教説が存在しないと思っていたから、

伊勢神道において神道五部書を教典とするいわゆる創世神話があるというのは驚きだった。

 

神道キリスト教

神道信者の中でも様々な神話の解釈があってそれによって教義や教説の内容も変わっているということは、

キリスト教内部でも聖母マリアは神なのか人間なのかという解釈が違うといったことを彷彿とさせる。

 

なぜこの本を手に取ったのか

日本は本当に無宗教なのか?という疑問がまずあって、そういえば日本には神道っていうのがあったよなと思い、この本を読んでみようと思った。

【アリストテレス入門】アリストテレス入門

 

アリストテレス入門 (ちくま新書)

アリストテレス入門 (ちくま新書)

 

 

アリストテレスとは

ソクラテスの弟子がプラトンであり、プラトンの弟子がアリストテレスである(有名すぎて今更感がすごい)。

アリストテレスが後世に多大な影響を与えたのは疑いようがない。そんな、アリストテレスの入門書。

大体の内容と知っていたこと知らなかったこと

四原因説や可能態ー現実態については知っていたが、他の哲学者と比べてもかなり観察重視だということや実体論については知らなかった。

本書について

殆どの文章が結論を先に述べずに展開しているため、なにが言いたいかわからないまま読み進めなければいけないので読みにくいと感じた。

加えて、抽象的な言葉が使われいていることが多く理解することが困難な部分もあった(実体、形相、本質など)。

かし、あとがきによると本書はアリストテレスの思想の解説ではなく、その思考法を学べるようにという目的で書いたという。

ういう目的ならば、このような文章の構造になったのも仕様のないことなのかとも思う。

読んでいて思ったことは、アリストテレスは結構プラトンを批判しつつも継承している部分が多くプラトンについて知っているとより理解が深まるかもしれないということ。

 

なぜこの本を手に取ったのか

実はアリストテレスのニコマコス論理学を半年くらい前に買ったのだけど、言っていることがよくわからないことが多く、何かいい入門書はないかなと思ってネットで調べてこの本がよさそうだって思ったから。

 

 

 

【思考の道具箱】知的複眼思考法

 

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

 

 

複眼思考とは

複眼思考とは常識やステレオタイプを疑わず受け入れる単眼思考と対をなす概念であり、著者がこの本で伝えたい思考法である。

それは、常識を疑い世の中に生じる様々な問題を様々な視点から捉える方法でもある。

まだまだ私は単眼思考に陥りがちであると思うので、この本を参考にして複眼思考ができるように努めたいと思った。

 

本書の重要性

全ての章で書かれていることが、私にとって必要なことだと思えてならなかった。

しかし、だからといってこの本を「鵜呑み」にして、本書の内容すべてが正しいことだと思い実践しようとすることは著者の本意ではないだろう。

でもとりあえず、個人的に重要だと思った点を2つ挙げていきたい。

 

1つ目は、批判的に読書をするということ。

私はしばしば哲学者の本を読んだりしてなにか素晴らしい知識を得たと感じ満足している部分があった。

しかし、そういった知識を得るだけの受動的な読書では自分で考えるようにはならないと著者は言う。

まさに身につまされる思いだった。たとえ有名な思想家や哲学者の書いた本であっても、それを鵜呑みにせず常にしっかりと吟味しながら読書したいと思った。

 

2つ目は、問いの展開の仕方。

ある問い(なぜ~なのか?)を打ち立てたとき、その複雑さに頭を抱えたり、もっともらしい答えを見つけて納得してしまうかもしれない。

しかしそれではそこで止まってしまい、なぜという問いに答えることにつながらない。

それを克服するためには、主語をより分解してみたり、どうなっているのか?という実態を問う問いも組み合わせて問いを展開してゆくという方法がある。

なにか問題が生じたときに参考にしたい方法だと感じた。

 

なぜこの本を手に取ったのか

これは非常にわかりやすい理由で、読書猿さんのブログを読んでこれは読まねばという気になったから。

 

【プラトン入門】プラトン 哲学者とは何か

 

プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)

プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)

 

  

プラトンの思想の解説ではなくまさにエッセンスを知れる

あとがきにも書かれているが、この本はプラトン哲学の解説という内容の本ではない。プラトンの前半生をたどり、彼がソクラテスと出会いどのようにしてプラトン哲学が生まれたのか、そして哲学とはなんなのかということが主に対話篇を例に挙げて書かれている。

 

プラトンは対話によって思索を深めた

プラトンソクラテスの視点を通して、対話という形で彼の思索を深めた。

たとえば「カルミデス」という小篇では、クリティアスという寡頭政を唱えた人物をソクラテスと対話させることで、彼が「思慮深さ」について何も知らないということを暴いた。

そして、若きプラトンはこのクリティアスと政治的姿勢が共鳴していたという、つまりクリティアスの考えを分析することがそのままプラトン自身の分析へと繋がっていたのだと解釈できる。

確かに、対話という形で自分の思考を対象化し分析することは今日に生きる我々にとっても自分の思索を深める有効な手段であると思う。

 

この本を手に取った理由

理由は二つあって、一つ目はあるブログで紹介されていたから、もう一つはプラトンの入門書を読みたかったから。

【東南アジア】東南アジア紀行

本の感想を書いていきます。

タイトル 東南アジア紀行(上) 著者 梅棹忠夫 中公文庫

 

少し古い本だけれども、学術調査とはこういうものなのかと分かって知的好奇心が満たされた。国から豊富な資金が得られて、物価の安い国だったら悠々自適な生活を送りつつ調査ができるものだと思っていたから、こんなにも金銭面で苦労するんだと少し驚きだった。

学術調査と聞くと少しお堅い感じがするが、生き生きとした筆致で語られる異国の風景や、異国の人々との交流の様子は旅行記の趣も感じられる。そういう点でも面白かった。

 

この本を手に取った理由

1つ前の記事の本も同じ理由なんですが、ぶっちゃけ大学のレポート課題のためです。でも、レポート課題がなかったらこれからもずっと東南アジアに興味を持たずにいたと思うのでいい読書経験になったと思います。

 

東南アジア紀行 (上巻) (中公文庫)

東南アジア紀行 (上巻) (中公文庫)

 

 

【東南アジア】入門 東南アジア近現代史

タイトル 入門 東南アジア近現代史 著者 岩崎育夫 講談社現代新書

 

東南アジアについて植民地化される前から、現代に至るまで大まかな流れがつかめる本。

現代の部分は内容がかなり経済に偏っているように感じたが、東南アジアの概観を掴むことができた。

高校の頃にも断片的には東南アジアについて学んでいたが、今になってこの本を読み、東南アジア諸国がいかに日本を含む先進国に翻弄されてきたのか

という歴史的事実を再確認してこれを深刻に受け止めなければならないと感じた。

ヨーロッパ諸国、アメリカ、日本そういった先進国が富を求め東南アジアをめぐって争ったのはまさに資本主義の暴走といえる。

そして私はそういうことをした日本という国に生まれ、大して不自由のない生活を送っているのだということを今一度理解しておかなければならないと感じた。

話は変わるが、東南アジアが日本にとって経済的に重要であることを、東アジアと南アジアと比較することで述べているところが面白かった。

東アジアでは今でも、日本の植民地支配や侵略に対する厳しい批判がある。(東南アジアも日本に侵略されたが、東アジア程日本に対して批判的ではない)

南アジアは地理的に遠いだけでなく、宗教社会的な違いが大きい。

これらのことを考えると、東南アジア諸国が日本にとってかなり条件のいい貿易相手国のように思える。これからも良い関係を築いていってもらいたい。

 

入門 東南アジア近現代史 (講談社現代新書)

入門 東南アジア近現代史 (講談社現代新書)